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第九話「アデアット」

今日も何事もなくいつもの通学路を私達は走っていく。
朝の騒がしい登校のはずなのだが、今日はいつもとは違っていた。
昨晩話し合った結果、カモのセコイ作戦が提案され敵のエヴァちゃんとパートナーの茶々丸さんを各個倒していくと言う作戦になった。
あの後、しぶしぶアスナもネギと仮契約を結び今回の作戦に加わることになった。
まあ、それで最悪の戦い方は避けられる。
自分達より強い相手を一対一で倒すことになるものほど、マズイ賭けはない。
順番に倒していくという方法もあったのだが、それは相手が倒されるとどちらかがそれを感知するらしく、下手にやって他の関係の無い人々を巻き込むわけにはいかない。
アスナが戦列に加わったおかげで、エヴァちゃんはアスナとネギ君が茶々丸さんは私とカモが担当することになった。
なぜ、カモが戦力に入っているかは不思議でならないが。
まあ、しばし考えていると背中を叩かれる。
なんだろうと振り向いて見るとアスナがいて
「はいはい、そんなに考え込まない。 そんなの本番にならないと分からないんだから。」
アスナは笑いながら、私の不安を消し去ってくれる。
私はアスナに励まされ
「よし!! 今日も一番最下位がジュースおごりね!!」
私はそう元気に言うと張りきって飛び出した。
後ろの方でアスナ達がなにやら叫んでいる。
「卑怯!! まてーー!!」
「海里ー、いきなりは無しやーー!!」
「うわわっ!! 海里さんまてくださーい!!」



授業が始まって大体半分が過ぎた頃、いきなりカモがアスナに簀巻きにされた状態で私に渡された。
「どうしたのこれ?」
私は簀巻きにされて気絶しているカモをひょいと持ち上げアスナに事情を聞くと、またカモがいたらないことやったらしい。
どうやら、カモは戦力増強とネギ君を言いくるめ。
のどかにまで仮契約を迫ったらしい、そして校舎裏までわざわざ呼び出して、ネギ君と仮契約させるつもりだったのだろうが。
そのところをアスナに発見され今の状態に至るのだと言う。
なるほど、なぜいきなりのどかが保健室に行ったのか不思議に思っていたのだが、仮契約が強制解除された反動で気絶してしまったらしい。
アスナは目の前でため息をつきながら私に言う。
「海里のパートナーなんだからちゃんと見ててよねー。」
ドサクサになんかアスナはとんでもないことを言い出す。
「な、なんで!! 私がコイツの面倒までみるのよー!! 共闘だから一応組んでるだけーー!!」
私はクラス中に聞こえるように叫んでしまう。
一斉に私にクラスの視線が刺さる。
「あうー。」
私は恥ずかしくなって一旦クラスを出ようとした時、席に座っていた茶々丸さんとすれ違った。
茶々丸さんも気がついたのか私に軽く頭を下げて挨拶をしてくる。
その行動が以外でボケーっと挨拶をし返すのを忘れて廊下に出てしまったところで首をかしげる。
「うーん、茶々丸さんはどうも悪い人にはみえないんだけどなー。」
と、呟いていると気絶していたカモが目をさまし。
「いやいや!! あれはネコ被っているだけっすよ!!」
元気よく私の考えを否定する。
まあ、さっきのことで恥をかいたのでここらでちょいとヤキをいれることにしよう。
「カモ、あんたまた、くだらないことやったらしいわね。」
私はカモを目の前にぶら下げつつ、低い声で話しかける。
カモは脂汗をダクダクと流しながら。
「いやー、なんのことっすかねー。」
ウソ丸見えの言葉を吐く。
いいかげん私も頭に来たので。
「天誅!!」
「ギャーーー!!」


学校が終り放課後になってサボり気味のエヴァちゃんが茶々丸さんと合流したので、私達は後ろからこそこそと後をつけ様子を見ることにした。
「まったく、なんでこんなストーカーみたいなことを。」
とアスナはブツブツ言いながら、茂みの中からエヴァちゃん達を見ながら言う。
私もエヴァちゃん達を観察しつつアスナをなだめる。
「まあまあ、これをしないと今後色々ヤバくなるんだから我慢我慢。」
私自身も制服が汚れたり破れたりしたら嫌なのだが仕方なくしているのだ。
ネギ君の方は私達の会話がまったく聞こえないのか真剣にエヴァちゃん達の様子を眺めている。
それほど、ネギ君はこの事体を重く見ているようだ。
そういえば先ほどからなにか静かな気がする。
何か忘れているような。
うーん、と私が考えていると後方から聞き覚えのある声が聞こえる。
「うっひょー!! ええ眺めジャー!! 女子校バンザーイ!!」
アスナもその声が聞こえたのか私と同じに立ちあがる。
「え、どうしたんですか?」
ネギ君は聞こえなかったらしく私達を見て驚いている。
私達は振り向くとネギ君の疑問に答えるかのように、親父クサイセリフを言った奴の元へと走りだす。
「「この!! エロカモーーーーーーー!!」」


カモが馬鹿な事をしてくれたせいで、私達はエヴァちゃん達を見失ってしまった。
目の前に道は二本、このどちらかにエヴァちゃん達が、あるいは別れているか。
どうしようと私達が悩んでいるとカモがヒョイと顔をだして。
「こうなったら仕方が無い、二手に分かれましょう!! いちかばちかでそっちに会った奴と戦うっす。 二人一緒にいればどちらかが連絡するだけでいいスッから。」
しかたがなくカモの作戦に従い私とカモは右の道へ、アスナとネギ君は左の道へ行くこととなった。


別れてしばらく走りながらエヴァちゃん達の後を追っていると、カモがちょいちょいと頬をさしてくる。
「なによ?」
私はその腕をペシと叩きながら答える。
カモが顔を青くして口を開く。
「ね、ネギの兄貴とアスナの姉さんが敵と遭遇したっす。 あ、相手は茶々丸らしいっす。」
ギギギ、と効果音がつきそうな音で顔をこちらに向ける。
私もそれを聞いて察しがついた、それはつまり・・・
「わ、私達がエヴァちゃんの相手をするってこと!?」
予定とまったく逆になってしまった。
一旦足を止めアスナ達と合流しようと、カモと話し合っていた時不意に私達がいる場所の温度が急激に下がってくるような感じがした。
「!!」
咄嗟に私はその場所から飛び退く。
刹那、その場には無数の氷が突き刺さっている。
「や、やべえ!! もう遅かったらしいぜ、海里姉さん。」
カモは前方を向きながら私に話しかけてくる。
私もカモの向いている方向に顔を上げると。
「ククク、各個撃破か作戦としては100点だな。 しかし、相手を甘く見すぎで−120点と言ったところか。」
エヴァちゃんは笑いながら私達を眺めてくる。
なにか不思議な点でもあったのか横にある氷の突き刺さる場所に視線を変える。
「ふん、神楽坂といいお前といい学園長の孫娘と同じ部屋に住ませているだけあるか。 ここまで第六感が鋭いとは。」
どうやら、エヴァちゃんはさっきの一撃で私達を串刺しにするつもりだったらしい。
一応意表は、つけたのだろうがもう手が無い。
かといって逃げ出した瞬間に背中を串刺しだろう。
ついでに、ネギ君が茶々丸さんを倒してここまでるまで持つわけがない。
「ヤバ、どうするカモ?」
肩に乗っている、カモにアドバイスを持たせる。
「こりゃ、逃げるは自殺行為。 仕方が無い、どうにか兄貴が来るまで頑張るしかない。」
そう言いきる、が私達にはそんな能力はそろっていないのでカモに反論しようとした時だった。
「ほれ、姉さん。 仮契約の証明のカードだ、それを持って「アデアット」っていいな。」
カモは我に秘策ありみたいな顔でカードを渡してくる。
私はそのカードを見もせずに手に取り叫ぶ。
「アデアット!!」
「ちっ、ぼーやと仮契約していたのか!!」
光が溢れる中でエヴァちゃんが舌打ちがするのが聞こえる。
これはなんとかなるんじゃないかと思ったりする。
光が収まると私の両腕には光の円盤が浮いている。
私はそれとなく構えてエヴァちゃんを見つめる。
エヴァちゃんはそれを見つめると驚いた顔で私のアーティファクトの名前を口にする。
「魔力のチャクラムだと。」


別談
「さあ!! カモ、この使い方教えて!!」
エヴァちゃんをけん制しつつカモにこの武器の使い方を聞く。
が、帰ってきた声はとんでもない返事だった。
たった一言。
「知らん。」
ちょっとおされ気味だったエヴァちゃんから恐ろしい殺気がみなぎる。
「な、なんですってーー!? わっ、ちょっとタンマーー!!」
その後次々と氷の散弾が私達を襲った。
「カモのアホー!!」



第九話「アデアット」完